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補遺1 預言の御霊



 罪がこの世界にはいって、神と人との間に断絶ができたあと、神は預言者を通して人間にお語りになりました。コリント人への第1の手紙12章28節には、「そして、神は教会の中で、人々を立てて、第1に使徒、第2に預言者、第3に教師とし、次に力あるわざを行う者、次にいやしの賜物を持つ者、また補助者、管理者、種々の異言を語る者をおかれた」とあります。
 預言者が与えられた目的について、エペソ人への手紙4章12節から15節までに、「それは、聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ、キリストのからだを建てさせ、わたしたちすべての者が、神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し、全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。こうして、わたしたちはもはや子供ではないので、だまし惑わす策略により、人々の悪巧みによって起る様々な教の風に吹きまわされたり、もてあそばれたりすることがなく、愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達するのである」とあります。
 すなわち、教会員を奉仕のわざのために準備させ、いろいろなちがった教えに迷わされないで、教会に一致を与え、成長してキリストの姿に達するのを助けるのです。
 この働きは初期の教会にもありましたが、終末時代の教会にも約束されていました。ヨハネの黙示録12章にキリストとサタンとの争闘がえがかれていて、17節「龍は、女に対して怒りを発し、女の残りの子ら、すなわち、神の戒めを守り、イエスのあかしを持っている者たちに対して、戦いをいどむために、出て行った」とあります。サタンが戦いをいどむ最後の時代の教会は、神の戒めを守り、すなわち、十戒を守っていて、イエスのあかしを持っているといわれています。イエスのあかしというのは、ヨハネの黙示録19章10節の最後に「イエスのあかしは預言の霊である」と書いてあります。最終時代の神の教会は預言者を与えられるという約束です。
 この働きは1844年の再臨運動が失望に終ったあと2か月くらいたって、あらわれました。それに用いられた器は、エレン・ハーモン(のちに結婚してエレン・G・ホワイトとなる)という17才の少女でした。米国のポートランドの一信徒の家に数名集まって祈っていたとき、幻を与えられたのです。


1.当時の状況

 当時のアメリカは、宗教的混乱の時代でした。一般にひろがった再臨運動が失望に終ったあと、聖霊の働きについての狂信的な考えが起こっていました。たとえばもう罪を犯さない程きよめられたと考え、その仮面のもとでおそるべき罪が行なわれたり、聖霊をうけたといって集会で飛びはねたり、わめいたり、床をころげまわったりするようなこともありました。また聖書には再臨のその日その時はわからないと書いてあるのに、度々再臨の時を定めたりしました。
 このような狂信的傾向に対して、聖書を信じる人々は霊の働きを警戒し、夢や幻は信じないという決議をしたほどです。この傾向は終末時代におけるほんとうの聖霊の働きがあらわれようとする時、これを受けいれることを困難にするサタンの働きであったと思われます。そのような状況の中で、E・G・ホワイトを通しての預言の霊の働きはうけいれられたのです。


2.真の預言者の証拠

(1)預言の成就 

 その預言が成就することは、真の預言者の証拠の1つです。エレミヤ書28章9節に、「その預言者の言葉が成就するとき、真実に主がその預言者をつかわされたのであることが知られるのだ」とあります。ホワイト夫人の預言の成就した例をすこしあげてみましょう。

例えば1863年に健康生活に関する幻を与えられました。当時の米国の食事は肉食と白パンが主で、タバコの害もわかっていませんでした。この時の幻は、健康法則や正しい食生活を示しました。コーネル大学の栄養学の教授マッケイ博士は、1958年ニューヨークの学会でホワイト夫人のことを述べ、「彼女はすぐれた業績を残した。彼女は適当な食物の選択が大切なこと、栄養と健康との関係をよく諒解していた」と言いました。


(2)律法とあかし 
 「ただ律法とあかしとを求むベし、彼らのいうところ、この言にかなわずばしののめあらじ」(イザヤ書8章20節元訳)「律法とあかし」というのは聖書全体のことです。預言者の語る言葉は、聖書と一致していなければならないということです。聖書に反する預言は神からでたものではありません。


(3)真の預言者はキリストを神の子といいあらわします。 
 「愛する者たちよ。すべての霊を信じることはしないで、それらの霊が神から出たものであるかどうか、ためしなさい。多くのにせ預言者が世に出てきているからである…すなわち、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白する霊は、すべて神から出ているものであり、イエスを告白しない霊は、すべて神から出ているものではない。これは、反キリストの霊である。あなたがたは、それが来るとかねて聞いていたが、今やすでに世にきている」(ヨハネの第1の手紙4章1-3節)と。すなわち、キリストが人の姿をとってこられた神の子であることを教える者は真の預言者です。そうでない者は偽りの預言者ですから、私どもはそれに惑われてはなりません。
 キリストが神の子であることを否定する預言者は、真の預言者ではないのです。


(4)その実によりて 
「にせ預言者を警戒せよ。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである。あなたがたは、その実によって彼らを見わけるであろう。茨からぶどうを、あざみからいちじくを集める者があろうか。そのように、すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ」(マタイによる福音書7章15-17節)
真の預言者はそれにふさわしい品性をそなえています。
ホワイト夫人は神の預言者としてふさわしい品性をそなえておいでになったことは、彼女と交わった多くの人が証言しています。
またその言葉は時期と状況に適したものであり、立派な結果を残しています。
私たちが実際にホワイト夫人の書かれた書物を読んでみると以上のことを確かめることができます。


3.聖書との関係

 預言の御霊の書物は、聖書とどういう関係があるかについて、ホワイト夫人は、「聖書に注意がはらわれていないので、人々を大いなる光にみちびくために、小さい光が与えられた」(文書伝道37ページ)といわれました。預言の御霊による書物は聖書の代わりではなく、聖書に導く働きをするものです。
 初期の再臨運動の指導者の1人であったウライヤ・スミスは、預言の御霊について1つの例をつかって説明しています。船が航海にでるとき、船の持ち主が案内書をくれました。それを聞いてみると、船の航路の案内が書いてあって終わりのところに船が目的の港に近づくと、いろいろな危険があるから、パイロット(水先案内)を用意しておくと書きそえてありました。港に近づいて暗礁や浅瀬にのりあげないように案内するためでした。もちろんその船の船長は水先案内がきたとき、それに従って安全に港にはいるようにするでしょう。
 聖書は教会を導く案内書ですが、聖書の中に、終末時代の教会に対して預言の御霊が与えられ、終末時代の必要を満たすという約束が与えられていたのです。そして聖書の約束どおりに、ホワイト夫人を通して与えられたのです。私たちは終末時代の危険をのりきる光として、預言の御霊の書に従っていくことが安全な道です。


4.ホワイト夫人の著書

 1915年に88才で永眠なさるまでにホワイト夫人は多くの著述をなさいました。雑誌にかかれたものを加えると4万ページをこえる分量にのぼっています。それは今日100か国以上の言葉に翻訳されました。日本語に翻訳されているものの中に、『人類のあけぼの』『各時代の希望』『各時代の大争闘』『キリストへの道』『祝福の山』『教育』等があります。これらの著書は、聖書の真理をわかりやすく、またその深い意味を示してくれます。
 今日多くの書物が出版されていますが、ホワイト夫人の著書にはそのすべてのページに、人の心を生かす言葉を見いだすことができます。
 「あなたがたの神、主を信じなさい。そうすればあなたがたは堅く立つことができる。主の預言者を信じなさい。そうすればあなたがたは成功するでしょう」(歴代志下20章20節)。

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